2017年01月10日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(7)

本日行われた中国の名人戦準決勝は2局ともMasterの打ち方を用いていました。
研究をするよりも実戦投入して手応えを掴むということでしょうか。
大舞台でも新しい打ち方に挑戦する姿勢は見習わなくてはいけませんね。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1078.jpeg
【実戦図1:厚みの感覚】
黒番はMaster、白番は朴永訓九段です。
右下の厚みは立派なので、黒1と離して打つのが好感覚。
白2に黒Aと打ちたくなるが、黒3から5と厚みの働きを削ぐことを優先する。
Masterは厚みを無力化させる打ち方を好むようです。
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2017年01月09日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(6)

Googleから以下の発表がありました。
「今回の60戦は非公式のテストで、今年中に通常時間の対局を企画する」
ネット碁で行われた対局は秒読30秒の早碁だったので、長時間の碁でどうなるか気になります。
時間が長ければ人間側のミスが減るので、今回よりも内容の濃い対局になることは間違いありません。
ただ、3月21日にワールド碁チャンピオンシップが開催されるので、4月以降にしてほしいですね。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1065.jpeg
【実戦図1:Master特有の布石】
黒番はMaster、白番は辜梓豪五段です。
Masterは黒5の二間シマリから黒7、9と肩ツく手法をよく用いています。
善し悪しは不明ですが、スケールの大きい構想を好んで打つ傾向にあるようです。
細かいところで最善を尽くすより、次々に要所を占める方が良いのかもしれません。
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2017年01月08日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(5)

今回紹介する棋譜は、今まで悪いとされてきた変化を用いています。
Masterが示した変化に対して面白いと感じる棋士も多く、これから打たれるようになると思います。
局面の状況に応じて自由自在に打つ囲碁AIは、碁の奥深さを改めて示してくれたように感じます。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1055.jpeg
【実戦図1:新発想の打ち方】
黒番は江維傑九段、白番はMasterです。
黒8までの変化は「村正の妖刀」と言われる定石で人間界でもよく打たれます。
長い間、白Aとハネるのが当然だと思われていたが、Masterは新しい手法を示しました。
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2017年01月07日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(4)

Masterと棋士の間には2~3子程の差があると言われています。
細かい碁もありますが、囲碁AIは以下の特性があるので、終盤に差がつまることはよくあります。
「囲碁AIは半目勝ちを目指すので、嫌味などを消して紛れる要素を消す特徴があります」
序盤中盤で大きな差がつくことが多く、碁の真理はそこに隠されているかもしれません。
さて、対局を振り返っていきましょう。

囲碁1046.jpeg
【実戦図1:下辺の攻防】
黒番はMaster、白番は党毅飛九段です。
Masterは黒7と構えることが多く、棋士達がこの戦術を打つ姿をよく見かけるようになりました。
去年、アルファ碁の打ち方が流行したので、今年はこれが打たれるようになるかもしれませんね。
黒9まで、下辺の攻防でどちらが主導権を握れるかが序盤の焦点です。
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2017年01月06日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(3)

柯潔九段はMasterに三連敗したこともあり、入院したそうです。
中国の名人戦準々決勝を欠席するなど、対局できる状態ではないということだろうか。
それだけ、Masterの打ち方に戦慄を覚えたのかもしれません。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1039.jpeg
【実戦図1:新鮮な感覚】
黒番がMaster、白番は古力九段です。
序盤早々驚かされたのが、黒7を利かして黒9に回る打ち方です。
左下の白は強いので形を決めやすい意味はありますが、中々こういった発想になりません。
状況次第で様々な手が生じる可能性があるので、普通は良くないとされているからです。
黒7と白8の交換を悪手にせずに打てるかが、序盤戦の見所です。
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2017年01月05日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(2)

囲碁AIのMasterは筋の良い打ち方をするので、参考になります。(MasterはAlphaGoと確定)
一方、悪いと言われる打ち方を用いている対局もあるので、何が正しいか分からなくなることがあります。
2017年は定石や常識と思われたものを見直し、新しい可能性に挑戦する年になりそうですね。
さて、対局を見ていきましょう。
※1/6(8:49):参考図を3つ程追加しました。

囲碁1022.jpeg
【実戦図1:三連星の布石】
黒番は古力九段、白番はMasterです。
黒5、7のカカリを利かしてから、黒9と三連星に構えるのは古力九段がよく用いる戦術。
白は上辺と下辺のどちらを割っても戦いは避けられないため、穏便に打ち進めるのが難しいです。
黒に模様を築かれるのは避けられず、白の大局観が試される序盤戦となっています。
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2017年01月04日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(1)

今回から最強囲碁AI「Master」の棋譜を見ていきます。
序盤は布石の見本のような打ち方をしますが、中盤以降の収束がすば抜けているように感じます。
級位者の方でも恐らく参考になると思うので、野狐囲碁から棋譜を得て棋譜並べすることを勧めます。
Masterの碁を一言で言い表すとするなら「美しい碁」というところでしょうか。
終盤も乱れる様子がなく、AIの弱点はほぼ消えていると見ていいでしょう。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1010.jpeg
【実戦図1:見慣れた布石】
黒番はMaster(囲碁AI)、白番はblack2012です。
黒7までの進行は今でもよく打たれる布石の一つです。
囲碁AI全般に言えることですが、序盤は特別な手を用いずに無難な手を打ち進めることが多いです。
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2017年01月03日

コンピューター囲碁の近況

ここ数カ月でコンピューター囲碁の動向が大きく変化しています。
今やトッププロでも勝つのが難しい、勝てれば金星といった状況となっています。
ただ、悲観的には思っていません。新たな可能性を示してくれるものだと考えています。
うまく付き合っていけば、互いに有益に働くはずです。
日本囲碁界は世界の流れに置いて行かれないよう、考えていかなければなりません。
さて、今日までに至るまでの流れを以下にまとめました。

野狐囲碁で現れた「絶芸」という中国AIはトッププロに互角に戦える力があり、
一躍有名な囲碁AIとして騒がれていました。

次に現れたのが「刑天」です。(これも中国AI)
絶芸の改良版と言われているだけあって、物凄い強さで周囲を驚かせました。
棋風は明るい打ち回しを得意としており、いつの間にか差が広がっている印象です。

そして、最近現れた「Master」という韓国AIに大きな衝撃が走っています。
東洋囲碁で30連勝を記録し、野狐囲碁でも今のところ負けなしです。
どれだけ強いか測りかねますが、刑天よりも強く見えますね。
巧みに厚みを築き、中盤で相手を押しつぶすような力強い打ち方に異次元の強さを感じます。
年始の仕事が落ち着き次第、Masterの碁を見ていこうかと思っています。
野狐囲碁では無料で誰でも棋譜を見れるので、ぜひ鑑賞してほしいです。
※追記(01/03、23:16):Masterはトッププロに対して、50連勝達成する(負けなし)
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2017年01月01日

謎の囲碁AI、GodMovesの棋譜分析(2)

前回はGodMovesの鋭い追及と素晴らしい大局観でZENを圧倒しました。
今回紹介する第2局の棋譜は、打ちこなすのが難しい戦術を用いています。
実戦例の少ない布石形でも、囲碁AIは強さを発揮できるか注目していきます。

囲碁998.jpeg
【実戦図1:天元の布石】
黒1から5は天元の布石で時々用いられる戦術。
しかし、天元を活かせないと一手パスになり兼ねないため、難しい布石の一つです。
GodMovesが臨機応変に打ち回せるかが勝負の分かれ目です。
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2016年12月31日

謎の囲碁AI、GodMovesの棋譜分析(1)

ネットで話題になっている謎のAI、GodMovesの棋譜3局を分析します。
対戦はKGSで行われ、日本ルールで持時間は30分+秒読み30秒。
GodMovesがAIだと言われる所以の理由は打つ手の速さです。
以下にZENとの対戦詳細をまとめました。(全てGodMovesの黒番)
第1局目:221手完黒中押し勝ち、消費時間8分37秒(一手2.3秒)
第2局目:173手完黒中押し勝ち、消費時間6分40秒(一手2.3秒)
第3局目:173手完黒中押し勝ち、消費時間7分37秒(一手2.6秒)


棋士でもZENを相手にするのに骨が折れるのに、GodMovesは一手3秒程で完勝しています。
3局の特徴として、ZENに厚みを与えないような打ち方をしている気がします。
ZENは模様をまとめる力が長けているので、有力な対策かもしれません。
さて、1局目を振り返っていきます。

囲碁989.jpeg
【実戦図1:よくある展開】
白1と黒2を交換して左下の黒を重くした後、白3とハサむのは序盤の常套手段。
黒4、6と地を稼ぎながら白を攻めるのもよく用いられる手法で、中国流定番の布石形です。
囲碁AIもこうした進行が無難であると見ているようですね。
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2016年12月16日

Googleが中国棋院に訪問

12月13日にGoogleの関係者(最高経営者と社長)が中国棋院に訪問したそうです。
一時前に「来年の初め頃にアルファ碁と人類の対決を企画している」とツイッターで公開されており、
今回の訪問から、中国棋院の棋士がアルファ碁の対戦相手として選ばれる可能性が高くなってきました。

なお、Googleは「ワールド碁チャンピオンシップ」への招待を受けていたが日程が合わないことから辞退。
柯潔九段も日程が厳しいことを理由に、中国国内で行われる代表戦に出場しないことを発表した。
アルファ碁vs柯潔九段に向けて準備をしているのでは?と想像してしまいます。

しかし、中国はGoogleを入れない処置をしていることから、様々な課題をクリアしなければなりません。
実現してほしい好カードなので、ぜひ実現してほしいところですね。
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2016年11月30日

井山六冠vsDeepZENGoの対決が決まる!!

日中韓の棋士と囲碁AIが参加する「ワールド碁チャンピオンシップ」の開催が決定されました。
現在公開されている情報の詳細を下記にまとめたのでご覧ください。

【日程】
2017年3月21~23日
【会場】
日本棋院関西総本部
【出場選手】
井山裕太六冠、DeepZENGo、中韓の棋士2名
【対戦規定】
・3回戦の総当たりリーグ戦
・持時間3時間、秒読み60秒(休憩なし)
・日本ルール(コミ6目半)、全て互先
【賞金額】
優勝:3000万円、準優勝:1000万円、3位と4位:500万円
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2016年11月24日

第2回囲碁電王戦第三局、「趙治勲の持ち味発揮」

本日、第2回囲碁電王戦第三局が行われました。
第二局で圧倒的な強さを見せたZENに趙治勲名誉名人がどう戦うのか注目されました。
序盤はZEN特有の打ち回しを見せたものの、大きな差が生じずに中盤戦を向える。
趙治勲は模様を荒らすために弱い石を作ったが、あっさり生きることに成功しヨセ勝負に突入。
最後は細かい手所でポイントを上げていった治勲が盤面十目有利の形勢を築き、中押し勝ちを収めた。

今回の三局を通して、ZENはプロと戦える実力を有していることが証明されました。
大まかに分けて以下の4つの長所短所があると思われます。
1、序盤の打ち方が卓越している。
2、優勢になると緩い手が時々出る。
3、捨て石を駆使して模様を築くのがうまい。
4、滅多に攻められる石ができることがない。

コンピューターが苦手とする読みの正確さが増せば、更なる成長を遂げるはずです。
ぜひ、次回もこのような企画をしてもらい、多くの方に囲碁というものを知ってもらいたいですね。
では本局を大雑把に振り返っていきます。

囲碁753.jpeg
【実戦図1:常識破壊の対応】
黒1、3に白4と受けたのが人間界ではほぼ見られない着想で驚愕でした。
白に弱い石がたくさんできてしまうので、もう少し軽く打つのが普通です。
もし、この打ち方が成功することになれば、碁の常識が変わってしまう重大な一局となりました。
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2016年11月21日

第2回囲碁電王戦第二局、「ZENの巧みな序盤戦術」

本日、第2回囲碁電王戦第二局が行われました。
第一局目を制した趙治勲名誉名人が連勝できるかもしれないという期待があったが、
序盤早々、ZENの巧みな打ち回しが光り、治勲は形勢を大きく引き離されていく。
特別な手を使ってないのにも関わらず、絶望的な局面に引きずり込むZENの強さは本物でした。
対戦成績を1-1に戻ったが、碁の内容的にはZENが優勢である時間が長い結果となっています。
趙治勲は本格的に対コンピューター戦の対策を急がれることになるだろう。
さて、本局を振り返っていきます。

囲碁740.jpeg
【実戦図1:ZENの手厚い着想】
黒番はZEN、白番は趙治勲名誉名人です。
黒1から5と石の調子で左辺の連絡を断ったのが好手でした。
白6に黒7と封鎖したのが冷静で、全局的に黒厚い碁形をとなり黒打ちやすいです。
結果的には、白6でAと打つ方が良かったかもしれないが、黒悪くない変化になると思います。
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2016年11月20日

第2回囲碁電王戦第一局、「趙治勲が人類の意地を見せる!」

本日、第2回囲碁電王戦第一局が行われました。
数日前の記者会見では、DeepZenGoはアルファ碁に近い実力であると発表されており、
対局が始まる前は、趙治勲名誉名人の勝利は絶望的であるかのように思われていた。

「対局内容」
対局始めはZEN特有の打ち回しで優勢を築かれ、治勲は厳しい状況に立たされたが、
中盤に入り、徐々にポイントを稼いで形勢不明に持ち込むことに成功する。
ZENの勝つ道はいくつかあったものの、終盤の緩い手を的確に咎めた治勲が逆転勝利を収めた。
第1局を敗北したZENですが、棋士と互角に戦えることがわかりました。
終盤のヨセで細かいミスはあったが、序盤では素晴らしい石運びを披露しています。
第2局でも独創的な打ち方が見れると思うので、明日の対局も見逃せませんね。
さて、本日行われた対局を振り返っていきましょう。

囲碁722.jpeg
【実戦図1:黒意欲的な布石】
黒番が趙治勲名誉名人、白番がコンピュータ囲碁のZENです。
黒1のカカリを利かして3と構えるのは時々見られる戦術で、左辺の戦いに強い特徴があります。
ただし、白に厚くされると構え自体が薄くなる短所もあるため、使いこなすのは大変です。
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