2017年06月01日

アルファ碁自己対戦棋譜解析(3)

アルファ碁自己対戦の第3局は異次元の感覚で打っている碁ですね。
黒番、白番共に不可解な打ち方をするため、鑑賞する程度が良いかもしれません。
今回の碁は人間界に取り入れるのは難しい部類に入るかと思われます。
では、対局を振り返っていきます。

囲碁2016.jpeg
【実戦図:序盤早々の三々手法】
黒5とカカった瞬間、白6と三々に入っていきました。
従来の考え方なら、黒Aと右辺の黒陣を厚くして十分と見られていました。
しかし、三々手法は厚みを攻めの対象と見られるため、黒の対応は慎重にならざるを得ません。

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黒7、9と右辺に対して厚みを築くのは当然です。
白12に黒Aなら穏やかですが、黒13と相手の態度を聞いたのがアルファ碁らしい打ち方。
白Aなら黒Bの価値が高くなり、白Cなら黒Dと厚みを消す展開を狙います。
先程の白の三々よりは意図を読み解きやすいですが、それでも驚きですね。

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実戦は白14と左辺に対して厚くするのを選択。
黒19に白Aなどと左下の黒を攻めるのが自然だが、白20と受けるのは意外です。
人間的な評価なら白アマイように見えるため、この進行は中々選べません。
黒21はヒラキ過ぎな感じがするが、左上の白を攻める狙いもあるのでまだ理解できる範疇。

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左上の厚みを背景に、白22と左辺を割っていきたいところ。
白24に黒25、27で白一子を取られても、白28で左上の白の眼形が厚くできるので白十分。
また、上辺はスソアキの格好なので、黒が厚くなったところで大きな地になりにくいです。

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黒29に白30、32を利かして左上の白を補強します。
黒35はAを見ながら左辺の攻めを見る好点だが、左辺の白が軽くなる意味もあり一長一短。
黒41まで、右辺の模様が深くなる前に何かしらの対処をするのが人間的な発想ですが、
アルファ碁は冷静なのか、それとも鈍感なのか、ひたすら地を稼ぐことを優先します。

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白42と三々に入っていったのです。
黒49まで、右上と右下の厚みが右辺の構えと呼応し、黒の構えは理想形に見えます。
ただ、白に地を稼がれているので、白悪くないと見ているのでしょうか・・・。
上辺も下辺も大きな黒地がつきそうにないため、右辺だけの一方地ではありますが、
仮に白良しだったとしても、白番を持って勝ち切るのは困難だと思います。

囲碁2022.jpeg
黒模様が大きくて人間なら焦りますが、白52から54と冷静に地を稼ぎます。
黒55から59と中央を厚くしても、白60に打ち込まれて黒良くないことに気づきます。
左辺の白はAのツケが残っていますし、白Bと逃げ出されても中々捕まりません。
また、黒は右下しか大きな地がないので、地合いはそこまで良くないです。
白は大きな黒地ができない場を作り出し、局面を狭めていたようです。
一連の石運びはこの展開を予期して打っていたように感じます。
結果、白中押し勝ち。

囲碁2023.jpeg
【参考図1:厚みを消す手法】
白1に黒2から8と受けるのは一般的な手法です。
ただし、白9と右辺を割られると厚みを活かしにくく、黒悪いかもしれません。

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黒10には白11と黒12の交換を決めてから、白13とヒラくのが大切な手順。
白11で単に13のヒラキは、黒11と押さえ込むのが厚すぎるので注意です。

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右上の黒を攻められるのは辛すぎるので、黒14などと補強するところ。
しかし、白15を利かして黒の形を崩した後、白17と軽くトぶのが好点です。
黒模様を消しながら、白AやBを狙えるので白十分に見えます。

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【参考図2:一手の価値が上がる】
黒1に白2から10と押さえ込むのは白良くないです。
黒11のノビが左上の厚みを消しながら、右上を厚くする好点になってしまいます。

囲碁2027.jpeg
【参考図3:後手を引くサバキ】
黒1、3のサバキは常套手段だが、白4とハネられて困っているようだ。
Aと白陣を食い破って黒悪くないワカレに見えるが・・・。

囲碁2096.jpeg
部分的に黒5から13で黒十分なワカレになるも、白14と右辺を割られては黒良くない。
右辺の勢力圏を削られると右上の厚みが働きにくくなる上に全局的に大きな黒地が見込めない。

「編集後記」
本局は異次元の感覚で打たれたものですが、人間も意識的に訓練すれば習得できそうです。
自分もこの感覚を習得したいので、意識的に打って訓練しましょうかね。
posted by okao at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | コンピューター囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お世話になります。
アルファ碁やマスターの棋譜解説はすばらしく、いつも参考にさせて頂いております。
アルファ碁棋譜解説1の参考図3ですが、白6はC4ではないでしょうか?
ご確認のほど、よろしくお願いします。
Posted by 須永 大智 at 2017年06月10日 17:04
ご指摘ありがとうございました。
手順が謝っていたので訂正していきます。
Posted by okao at 2017年06月10日 19:11
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