2017年01月09日

最強囲碁AI、Masterの棋譜解析(6)

Googleから以下の発表がありました。
「今回の60戦は非公式のテストで、今年中に通常時間の対局を企画する」
ネット碁で行われた対局は秒読30秒の早碁だったので、長時間の碁でどうなるか気になります。
時間が長ければ人間側のミスが減るので、今回よりも内容の濃い対局になることは間違いありません。
ただ、3月21日にワールド碁チャンピオンシップが開催されるので、4月以降にしてほしいですね。
さて、対局を振り返っていきます。

囲碁1065.jpeg
【実戦図1:Master特有の布石】
黒番はMaster、白番は辜梓豪五段です。
Masterは黒5の二間シマリから黒7、9と肩ツく手法をよく用いています。
善し悪しは不明ですが、スケールの大きい構想を好んで打つ傾向にあるようです。
細かいところで最善を尽くすより、次々に要所を占める方が良いのかもしれません。

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【実戦図2:積極的な仕掛け】
白1に黒2と迫るのが面白い。
白の態度を聞いて先の打ち方を決めようとする意図があります。
受けると後手に回るので白3と反発するも、黒4と追及するのが鋭かった。

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白5と受けるくらいですが、黒6から10と切り離されて黒の実利が大きいです。
ただ、上辺の白も強化されたので、白Aなどの手に強く反発しづらくなった欠点もあります。
右上の黒陣は堅いですが、左辺は隙だらけなのでまとめ方が難しいように思えます。

囲碁1068.jpeg
【参考図1:地に辛い着想】
黒1、3と左上の黒陣を固めるのが自然な発想です。
白が厚くなったので、黒5を利かしやすくなったのも大きく、黒悪くない進行です。
Masterがこの図を選ばなかったのは、Aの味が残っているのを懸念したからでしょうか。

囲碁1069.jpeg
【参考図2:黒厚いワカレ】
黒1に白2と受けるのは消極的。
黒3、5と右上の白を圧迫されて、黒に中央を厚くされてしまいます。

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白6と顔を出してきても、黒7から9が良い石の調子です。
左上の黒陣を固めながら中央を厚くできるので、黒良いワカレとなります。
また、Aが残っているので、白は左上に手をつけづらくなっているのも黒の自慢です。

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【実戦図3:絶妙な大局観】
黒1の三々が素晴らしい好手。
右上の黒陣は堅いのでAから押さえ込むのは白良くありません。
かと言って、Bから押さえると▲があるため下辺に白模様を築くことができず、厚みが活かしにくいです。
Masterは局面毎の特徴や発展性の有無を正確に把握し、適切な戦術を用いています。

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白2と応じるくらいですが、黒3から9と先手で居直った後、黒11と下辺を割られてしまいます。
右下の厚みを活かせない局面となっては白苦しい展開です。

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【参考図3:方向違い】
白1と押さえる方向を変えるのは白良くないです。
黒2から10と隅で治まった後、黒12と右辺にヒラいて黒地に辛い進行となります。
左下に▲が来ているので、下辺の白陣が大きくならないのが白の泣き所。

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【実戦図4:鋭い切り返し】
白1に黒2、4と切り返すのが鋭い手筋。
Aの両アタリを見た様子見で白の受け方が難しいです。

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白5と受けるのは仕方ない。
黒6、8と抜いてから黒10と白11を交換したのは不可解ですが、黒12と生きれば黒良しです。
左辺の白陣は広いように見えますが、黒Aのツケもあるので見た目ほど大きくなりません。

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【参考図4:形が崩れる】
黒1に白2と受ければ隅も守れるように見えます。
しかし、黒5まで進むと、黒1と白2の交換が白ひどいことに気づきます。
後にAの逃げ出しを横目に黒Bとカケツグのが好点になるので、黒成功の図です。

「編集後記」
Masterは底知れない大局観で優勢を築いています。
普通、右下隅に三々から手をつけようと思わないですから、こうした打ち方は思いつきません。
先入観のない碁を打てるようになりたいものですね。
posted by okao at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | コンピューター囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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